緑内障になりやすい人はどんな人?その特徴とリスクを解説

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緑内障は、中高年以降で増える目の病気です。

自覚症状がほとんどないまま静かに進行し、気づいたときには視野が狭くなっていることも少なくありません。では、どんな人が緑内障になりやすい人なのでしょうか?

この記事では、緑内障になりやすい人の特徴や、放置することのリスク、よくある疑問へのQ&Aを分かりやすく解説します。40代以上の方やご家族に緑内障の方がいる方、健康診断で緑内障の疑いを指摘された方はぜひ参考にしてください。

緑内障は誰にでも起こりうる病気ですが、特定の条件に当てはまる人はリスクが高くなることが分かっています。以下に、緑内障になりやすい人の主な特徴をまとめます。

年齢(40歳以上)

加齢とともに緑内障の発症リスクは高まります。日本人の場合、40歳以上の約5%、60歳以上では10%以上が緑内障になるとの報告があります。年齢とともに房水(眼の中の液体)の排出が悪くなり眼圧が上がりやすくなることが一因と考えられています。そのため40歳を過ぎたら定期的に眼科検診を受けることが大切です

家族に緑内障の人がいる(家族歴)

遺伝的な要因で緑内障のリスクが高まることが知られています。特に親や兄弟など血縁者に緑内障患者がいる場合、自分も発症しやすいとされています。家族に緑内障の方がいる人は、若いうちから眼科で定期検査を受けておくことをおすすめします。

強度近視の人

強い近視がある人も緑内障になりやすい傾向があります。近視が強いと眼球が通常より前後に長く伸び、視神経が引っ張られてダメージを受けやすくなるためです。特に近視度数が強い(一般的に-6D以上の近視)ほど眼圧が上昇しやすく視神経が傷つきやすい状態になることが分かっています。強度近視の方は定期的に目の検診を受けましょう。

糖尿病や高血圧のある人

糖尿病や高血圧といった生活習慣病を持つ方も注意が必要です。これらの病気は血管の状態を悪化させ、視神経への血流が不足することで緑内障発症のリスクを高めます。特に糖尿病網膜症や高血圧性網膜症を合併している場合、視神経へのダメージが加速し失明リスクが上がることが報告されています。血糖値や血圧のコントロールをしっかり行い、内科とも連携しながら目の健康管理を心がけましょう。

睡眠時無呼吸症候群のある人

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気で、慢性的な低酸素状態を引き起こすことがあります。この酸素不足が視神経に悪影響を与える可能性があり、近年では緑内障との関連性も注目されています。実際に、睡眠時無呼吸症候群のある人は、正常眼圧でも視神経が障害を受けて緑内障を発症するケース(正常眼圧緑内障)が報告されています。

また、SAS患者は日中の眠気や集中力の低下に加え、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を合併していることが多く、これらも緑内障リスクを高める要因となります。ご家族にいびきがひどい方や、日中の眠気が強い方がいる場合は、眼科検診とあわせて睡眠時無呼吸の検査も検討することをおすすめします。

こうした要因が複数当てはまる方は、症状がなくても一度詳しい検査を受けてみることをおすすめします。特に「健康診断で緑内障の疑いを指摘された」「強い近視と言われた」「家族が緑内障だ」といった方は、早めに眼科で検査を受けてリスクを確認しておきましょう。

緑内障は放置すると視野が徐々に狭くなっていく進行性の病気です。初期段階では痛みや見え方の異常など自覚症状に乏しく、知らないうちに進行してしまうケースがほとんどといわれます。そのため、気づいたときにはかなり症状が進んでしまっていることもあります。

進行が進むと、視野の中に物が見えにくい範囲(暗点)が現れ、それが少しずつ拡大していきます。視野の欠けた部分がぼやけたり見えなくなったりし、最終的には失明に至る可能性もあります。実際、緑内障は日本における失明原因の第1位となっており、決して珍しい病気ではありません。

恐ろしいことに、緑内障で一度失われた視野は元に戻りません。視神経が障害を受けて欠けてしまった視野は、治療しても回復しないのです。そのため、「気づかずに放置してしまう」ことが大きなリスクになります。

緑内障は進行すると失明につながる病気ですが、早期に発見して治療を始めれば進行を遅らせ視力障害を防ぐことが可能とされています。

失明に至るまでには通常長い年月がかかりますが、逆に言えばその間に適切な治療を続けることで、視機能を一生にわたって維持できる可能性が高まるのです。

慢性緑内障(多くの緑内障はこれに該当します)はゆっくり進行し、自分では異変に気づきにくいため、定期的な眼科検診で早期発見することが非常に重要です。中期以降になって初めて「あれ、おかしい」と自覚する頃には、病状がかなり進んでしまっている場合が多いので注意しましょう。

若い人も緑内障になるの?

はい、若年層でも緑内障を発症するケースはあります。確かに緑内障は年齢とともに増える傾向がありますが、だからといって20代や30代で絶対に緑内障にならないとは言えません。実際に若い世代で緑内障が見つかる例も少なくなく、進行速度や失明のリスクも高齢者と同様に生じ得るのです。

若年の緑内障では原因がはっきりしないことも多いですが、家族歴や強度近視、さらには喫煙習慣などがあると若い人でも発症リスクが高まると指摘されています。つまり、若いからといって油断は禁物で、リスク要因がある方は年代に関係なく眼科検診を受けておくことが望ましいでしょう

緑内障の検査はいつ受ければいいの?

目安としては40歳を過ぎたら、一度は緑内障の検査を受けてみることをおすすめします。日本では40歳以上の20人に1人が緑内障になるとも言われ、60歳以上ではその割合がさらに高くなります。自覚症状がなく進行する病気なので、40代に入ったら一度眼科で眼圧検査や眼底検査などを受けてみましょう。検査で異常がなければひと安心ですが、それでも定期的(例えば1~2年に一度程度)に検診を継続することが大切です。

特に先述のようなリスク要因(家族歴や強度近視など)がある方、あるいは健康診断で「緑内障の疑い」と指摘された方は、症状がなくても早めに詳しい検査を受けることを強くおすすめします。早期発見できれば治療で進行を食い止められる可能性が高くなるため、迷わず眼科を受診しましょう。

緑内障は完治するの?

残念ながら、現在の医学では緑内障を完全に治すことはできません。傷んでしまった視神経を元通りに再生させる治療法がなく、緑内障で失われた視野は回復できないのです。そのため、緑内障治療の目的は失われた視野を取り戻すことではなく、病気の進行をできるだけ緩やかにして今見えている視野を維持することにあります。

具体的には、目薬やレーザー治療、手術などで眼圧を下げて視神経への負担を減らし、これ以上視野が悪くならないようコントロールしていくことが中心になります。言い換えれば、緑内障はうまく付き合っていくしかない慢性疾患ということです。しかし、適切な治療を継続することで多くの患者さんは一生視力を保つことが可能ですので、早期発見と継続的な通院・治療が何より重要になります

緑内障が心配な方や、「自分は緑内障になりやすいかも?」と不安に感じている方は、ぜひお早めに専門の眼科医にご相談ください。深見眼科では、緑内障の精密検査や診断を随時行っております。

検査自体は痛みもなく短時間で受けられますので、「異常はないかな?」と気になった段階で気軽に受診してみてください。

もし検査の結果、緑内障と診断されてもご安心ください。当院では点眼治療を中心に、症状や進行度に合わせてレーザー治療や手術など適切な治療をご提案します。緑内障は治療を始めたら終わりではなく、その後も定期的な通院で経過を追っていくことが大切です。先述のとおり、一度失った視野は元に戻せませんから、「これ以上悪くしない」ために私たちと一緒に治療を続けていきましょう。

深見眼科では、患者様お一人おひとりの目の状態や生活背景に合わせて丁寧に診察・説明を行い、末長く視力を保てるようサポートいたします。早期発見と継続的なケアこそが緑内障から大切な視力を守る鍵です。目に関する不安や疑問がある方は、お気軽に当院までご相談ください。定期検診のご予約も随時受け付けております。

日本眼科学会: https://www.nichigan.or.jp/public/disease/
参天製薬:https://www.santen.com/jp/healthcare/eye/library/cataract

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