まばたきの役割とは?

まばたきの役割 – ドライアイと瞬きの関係
まばたきは瞬時にまぶたを閉じる動作で、目の表面を守る大切な役割を担っています。
主な役割として以下が挙げられます。
- 涙の分布と乾燥防止
-
まばたきをするたびに涙腺から分泌された涙が角膜の表面全体に行きわたり、薄い涙の膜(涙液層)を形成します。この涙の膜が角膜を外気から保護し、乾燥を防いでいます。涙には殺菌作用や潤いを与える作用があり、目を潤すとともに感染から守っています。
もしまばたきがないと涙はすぐ蒸発し、角膜は空気にさらされて乾燥してしまい、ドライアイを引き起こしたり角膜に傷がつきやすくなります。また浅いまばたき(不完全なまばたき)でも涙が眼表面に均等に広がらず、結果的に乾燥を招くため、上下のまぶたをしっかり閉じる完全なまばたきが推奨されています。
- 眼表面の洗浄と異物除去
-
まばたきには、涙とともに目に入ったゴミやほこり、老廃物などの異物を洗い流し排出する洗浄効果もあります。瞬きをする度に涙が目の表面を流れることで、微細な塵埃や汚れを角膜から除去し、目を清潔に保つことができます。
この反射的なまばたきは、何かが目に触れたときに瞬時に瞼を閉じて異物の侵入を防ぐという保護反応としても働きます。例えば、まつ毛にゴミが触れた際に思わず瞬きをして目を守るのは、まばたきの持つ防御機能の一例です。
- 目の休息(リフレッシュ)効果
-
瞬きには視覚のリセット効果もあるとされています。まばたきをすると一瞬視界が遮られるため、それまで受け取っていた視覚情報を区切り、脳をマイクロ休息させる役割があります。
長時間集中しているとき、意識しなくてもまばたきによって映像のちらつきを抑えたり脳の疲労を軽減したりしているのです。このように、まばたきは単なる潤滑運動に留まらず、目と脳を休める大切な動作でもあります。
まばたきの仕組み
まばたきの仕組みを理解することで、その役割の重要性がより明確になります。
まばたきはまぶたの筋肉(眼輪筋など)の収縮によって起こる生理現象で、上まぶたと下まぶたが瞬間的に閉じ合わさる動きです。この動作により、涙腺で作られた涙がポンプのように眼の表面へ押し出され、角膜全体に広がります。その結果、角膜の上には厚さわずか約7µmの涙の膜(涙膜)が張り巡らされ、目を潤すことになります。
涙の膜はムチン層・水層・油層の3層構造から成り立ち、最表面の油層(脂質層)は瞬きをする度に分泌される油分が広がって覆うことで、涙の蒸発を防いでいます。この油層はマイボーム腺という瞼の縁にある腺から分泌され、瞬きによって角膜表面に塗布されるため、瞬きは涙液の蒸発抑制にも寄与しているのです。
私たちが行うまばたきには大きく3種類あります。
一つは普段何も意識せず規則的に行われている「周期性(自発性)まばたき」で、目が乾かないように自律神経の働きで自動的に行われます。二つ目は、突然の刺激に対する「反射性まばたき」で、例えば目の前に物が飛んできたり強い光が当たったとき、とっさに瞼が閉じて目を守る反応です。三つ目は自分の意思で行う「随意的(意識的)まばたき」で、ウインクのように意図的に瞼を閉じる動作が該当します。
通常は意識しなくても1分間に15~20回程度のまばたきが起こるとされ、この自発的なまばたきが常に涙を行き渡らせることで目の表面の潤いを保っています。
一方で、自分で意識的にまばたきをコントロールすることも可能であり、乾燥を感じたときに意図的に瞬きを増やして潤いを補うこともできます。
無意識のまばたき(自動的な瞬き)と意識的なまばたきの違いは、前者が常に目の状態に合わせ自律的に行われるのに対し、後者は自分の意思で回数やタイミングを調整できる点です。いずれにせよ、どちらのまばたきも涙を広げ目を保護するという目的は共通しています。
なお、まばたきには涙の分泌そのものを促すポンプ機能もあります。実際、瞬きをすることで涙腺が刺激されて涙が分泌され、まばたきが涙を送り出すポンプの役割を果たしています。そのためまばたきの回数が極端に減ると涙の分泌量も減少し、目の表面に必要な涙が行き届かなくなってドライアイ症状が現れることがあります。これは、瞬きによる涙液の循環が滞ることで潤い補給が追いつかなくなるためです。
まばたきの異常とドライアイ
通常は規則正しく行われているまばたきですが、現代の生活環境や体の状態によってまばたきの異常が生じることがあります。まばたきの異常とは、瞬きの頻度や質(まぶたの閉じ方)が正常から逸脱した状態を指し、ドライアイの悪化要因にもなります。

ここでは代表的な例を紹介します。
- まばたきの減少(回数の低下)
-
パソコン作業やスマートフォンの使用時には、集中によって自律神経が緊張状態(交感神経優位)になるため、無意識のまばたきが抑制されて瞬きの回数が大幅に減少します。
例えば、普段は1分間に15~20回程度まばたきをしているのに対し、読書中は約10回/分、パソコン作業中は約6回/分、スマホ・ゲーム使用時には約5回/分まで瞬きの頻度が落ちるというデータがあります。実に通常時の1/4以下まで瞬きが減ることになり、その分だけ涙の補給が追いつかず角膜表面が乾いてしまいます。
まばたきの減少が続くと涙の膜は不安定になり、目の乾きやしみる感じ、見えづらさ(かすみ)といった症状が出やすくなります。特にパソコンやスマホを長時間使う人は、知らないうちにまばたき不足に陥り慢性的なドライアイや眼精疲労に悩まされるケースが増えています。
したがって、デジタル画面に集中するときは意識的に定期的な休憩とまばたきを心がけることが大切です。実際に、作業の合間に目を休めたり意識してしっかりまばたきを行うことは、ドライアイや疲れ目の予防に効果的であるとされています。環境面でも、画面との距離や照明を調整したり、加湿を行うなどして目の乾燥を防ぐ工夫が有効です。
- 不完全なまばたき(浅いまばたき)
-
不完全瞬目とも呼ばれますが、これは上まぶたが下まぶたに完全に触れる前に瞬きが途中で終わってしまう状態です。まぶたを完全に閉じずに視野を優先するような浅い瞬きが起こると、角膜全体に涙が行き渡らず涙液の再分布が不十分になります。その結果、特に角膜の下部などに涙が行き届かない部分が生じ、そこから乾燥が進行してしまいます。
通常、人は会話中や運転中など視覚情報に集中するときに一時的に浅いまばたきをしていますが、多くの場合は次の瞬きでしっかり瞼を閉じて角膜の潤いを取り戻しています。
しかし、パソコン・スマホの長時間使用などで浅いまばたきの状態が長く続くと、全体の瞬きのうち不完全なものが占める割合が高くなってしまいます。ある報告では、日常では10~20%程度とされる不完全瞬目の割合が、デジタルデバイス使用により50%以上にも増えることがあるとされています。
浅いまばたきが増えれば増えるほど、角膜全体に涙が行き渡る機会が減り、慢性的な乾燥状態に陥りやすくなります。まばたきが浅いクセは自分では気づきにくいですが、意識してゆっくりとまぶたを閉じる練習(ぎゅっと瞼を閉じてから開ける動作を繰り返す等)をすることで改善が期待できます。日常的に「瞬きが浅いかも」と感じる方や、下まぶた側が特に乾く感じがある方は、意識的に深いまばたきを取り入れてみましょう。
- まばたき過多・まぶたの痙攣
-
反対に、瞬きの回数が異常に多い、自分の意思でコントロールできないまばたきが起こる場合もあります。その代表が眼瞼けいれんと呼ばれる状態で、両目のまぶたを開けていられないほど過剰な瞬きや強いまぶたの閉じが生じる疾患です。
眼瞼けいれんになると、「まぶしい」「目が乾燥する感じがある」「瞼が勝手に閉じて目を開けづらい」といった症状が現れます。初期の症状が漠然としているため単なる疲れ目やドライアイと誤認されてしまうことも少なくありません。しかし進行すると日常生活に支障をきたすほど目が開けられなくなるため、注意が必要です。このような神経疾患によるまばたき異常は頻度こそ高くありませんが、ドライアイと区別が付きにくいケースもあります。
また、まばたきの異常としては眼瞼ミオキミア(まぶたのピクピク)もよく見られます。これは主に下まぶたの一時的な軽い痙攣で、疲労・ストレスやドライアイなどが誘因で起こることがあります。眼瞼ミオキミア自体は通常数日で自然に治まる軽微なものですが、繰り返すようならドライアイの悪化や眼瞼けいれんの前兆の可能性も考えられます。
まばたきが多すぎる、まぶたが痙攣するなど明らかな異常を感じる場合は、専門医に相談して適切な対処を受けることが望ましいでしょう。
よくある質問
受診案内(深見眼科のご案内)
ドライアイの症状やまばたきの異常を感じたら、早めに眼科で相談しましょう。市販の人工涙液などで対処しても改善しない場合には、眼科で原因を見極めて適切な治療を受けることが大切です。
ドライアイには涙の量や質の低下、マイボーム腺の機能不全など様々なタイプがあり、当院(深見眼科)では検査を通じてそれぞれの原因に合った点眼薬や治療法をご提案いたします。また、生活環境のアドバイスも行っています。
特に症状が長引いている方やまばたきに関する不安がある方は、お気軽にご受診ください。

